book0025
この本はタイトルが気になり何度も手にとった。
そしてそのつど裏表紙や帯の説明を読んでは棚に戻す。
この本を買うのに何年かかっただろう。
山の本を読むようになり、遭難に関わる話も多少は読んできた。
それでも彼の遺書は余りに壮絶で、向き合う事が出来なかった。

そしてある日勇気を振り絞って本を買った。
我々ガ死ンデ
死ガイハ水ニトケ、
ヤガテ海ニ入リ、
魚ヲ肥ヤシ、
又人ノ身体ヲ作ル
個人ハカリノ姿
グルグルマワル

本の大部分は彼の輝かしい山行記録だ。
でもやはり最後の槍ヶ岳北鎌尾根での遭難の手記に圧倒された。